商標登録を自分でやる手順 — 特許庁への出願フローと印紙代の実額
自分のブランドの商標は、弁理士に依頼せず自分で特許庁に出願(本人出願)することができます。資格は不要です。本記事では、出願前の準備から登録料の納付まで、特許庁への手続きの流れと、国に支払う費用(印紙代)の実額を、特許庁が公表する料金一覧に基づいて順番に解説します。
- かかる費用の全体像(印紙代の実額)
- STEP 1: 商標と「商品・役務」を決める
- STEP 2: 区分・指定商品を決める
- STEP 3: J-PlatPatで先行商標を調べる
- STEP 4: 願書(商標登録願)を作る
- STEP 5: 特許庁に提出する(書面 or 電子)
- STEP 6: 出願後の流れと登録料の納付
- 自分でやる場合の注意点
1. かかる費用の全体像(印紙代の実額)
本人出願なら、代理人の報酬はかからず、国(特許庁)に支払う印紙代だけで出願できます。金額は特許庁の「産業財産権関係料金一覧」で定められています。
| タイミング | 費用(印紙代) | 例: 1区分の場合 |
|---|---|---|
| 出願時(出願料) | 3,400円+(区分数×8,600円) | 12,000円 |
| 登録査定後(設定登録料・10年分一括) | 区分数×32,900円 | 32,900円 |
| 〃(分割納付を選ぶ場合・前期5年分) | 区分数×17,200円 | 17,200円(後期5年分も同額) |
| 10年後の更新(更新登録申請) | 区分数×43,600円(分納は区分数×22,800円) | 43,600円 |
つまり1区分なら、出願から登録まで合計44,900円(出願料12,000円+登録料32,900円)が国に支払う費用の目安です。書面(紙)で提出した場合は、これに加えて電子化手数料(2,400円+書面のページ数×800円)が後日かかります。
※ 金額はいずれも特許庁「産業財産権関係料金一覧」(記事末尾の出典)に基づきます。料金は法令改正で変わることがあるため、出願前に必ず特許庁の最新の料金一覧をご確認ください。
2. STEP 1: 商標と「商品・役務」を決める
商標権は「マーク(名前・ロゴ)」単体ではなく、「マーク × そのマークを使う商品・サービス(指定商品・指定役務)」のセットで登録されます。まず、どの名前(またはロゴ)を、どの商品・サービスに使うのかを書き出します。文字だけで出すか(標準文字)、ロゴで出すかもここで決めます。
3. STEP 2: 区分・指定商品を決める
商品・サービスは、政令で定める区分(ニース国際分類に基づく45の区分)に従って指定します(商標法6条)。区分の数が増えるほど出願料・登録料が増えます。区分の仕組みと選び方は別記事「商標の区分(ニース分類45類)の選び方」で詳しく解説しています。
4. STEP 3: J-PlatPatで先行商標を調べる
同一・類似の商品やサービスについて、他人の同一・類似の商標がすでに登録・出願されていると、登録できません(商標法4条1項11号)。出願前に、特許庁の無料データベースJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の「商標検索」で、同じ読み・似た綴りの先行商標を確認しておきましょう。
5. STEP 4: 願書(商標登録願)を作る
特許庁の様式に従って「商標登録願」を作成します。主な記載事項は次のとおりです。
- 商標登録を受けようとする商標 — 標準文字で出す場合はその旨を記載。ロゴの場合は商標見本を貼付
- 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分 — STEP 2 で決めた内容
- 出願人の氏名(名称)・住所
様式・書き方の公式案内は特許庁・INPIT(工業所有権情報・研修館)が公開しています(出典欄のリンク参照)。
6. STEP 5: 特許庁に提出する(書面 or 電子)
A. 書面(紙)で提出する
- 願書を印刷し、出願料分の特許印紙(収入印紙とは別のものです)を所定欄に貼付(消印はしない)
- 特許庁(〒100-8915 東京都千代田区霞が関3-4-3)へ郵送、または窓口に持参
- 後日、電子化手数料(2,400円+書面のページ数×800円)の払込用紙が届くので納付
B. インターネット出願(電子化手数料が不要)
- 電子証明書(マイナンバーカード等)を用意し、特許庁の「インターネット出願ソフト」をインストール
- 願書を作成してソフトから送信し、出願料を電子現金納付・口座振替等で納付
7. STEP 6: 出願後の流れと登録料の納付
- 方式審査 — 書類の形式チェック。不備があれば補正指令が来ます
- 実体審査 — 識別力(商標法3条)や先行商標との類似(同4条)などを審査官が審査します。審査には相応の期間がかかります(時期・案件により変動。最新の状況は特許庁サイトで公表されています)
- 拒絶理由通知への応答(来た場合) — 意見書・手続補正書で反論・補正できます。専門的な判断を要する局面で、弁理士への相談が特に有効な場面です
- 登録査定 → 登録料納付 — 査定の謄本送達日から30日以内に設定登録料(区分数×32,900円。5年ごとの分割納付も可)を納付
- 設定登録・商標権の発生 — 存続期間は設定登録の日から10年で、更新登録申請により更新できます(商標法19条)
8. 自分でやる場合の注意点
- 出願料は返ってきません。識別力がない名前(普通名称・記述的な名前など)や先行商標と衝突する名前は拒絶されやすいため、出す前のセルフチェックが重要です。拒絶されやすい名前の型は「識別力(商標法3条)で拒絶される名前の型」にまとめています
- 区分・指定商品の書き方は審査実務上の決まりごとが多く、初めての方が最もつまずきやすいポイントです
- 拒絶理由通知が来たときの応答は法律判断を伴います。不安な場合は弁理士に相談してください
出す前に、お客様のブランド名で「想定される区分」と「登録に向けた確認ポイント」を無料でセルフチェックできます(AIによる機械的な目安です。登録可否の判断・保証ではありません)。
無料でブランド名をチェックする → 登録不要・その場で結果。最終判断は弁理士・特許庁が行います。出典・一次情報
- 特許庁「産業財産権関係料金一覧」 https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
- 特許庁「商標制度・手続」 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/index.html
- e-Gov法令検索「商標法」(昭和34年法律第127号) https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127
- INPIT「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/